デジタルの疑問難問解決隊 第20回
いま巷で話題沸騰のChat GPTとは?

みなさまは「Chat(チャット) GPT」という言葉を聞いたことがございますか? 正確には「Generative Pre-trained Transformer(生成可能な事前学習済み変換器)」の略です。

※新聞・テレビなどでは『チャットGPT』と表記されていますが、本稿では英字による正式名称に統一しております。

  非営利目的のOpen AI研究所が開発した人口知能チャットポットのことで、2022年11月末にリリースを開始し、今年の3月までのわずか数カ月で利用者1億人という、脅威のダウンロード数を誇っているソフトウェアです。また年初にはMicrosoft社が巨額の投資を行い、自社の検索エンジン「Bing」との連携を図ると発表したことにより益々利用者が増え続けています。

身近なところで、カスタマーセンターの時間外チャットロボットに問い合わせを行うと、自社HP内のキーワードを繋ぎ合わせた程度の回答しか表示されず、けっして満足のいくような内容ではありません。ところが、この「Chat GPT」は寄せ集めの繋ぎ合わせとは違います。ネット上にある文献をAIが判断し、最適な言葉に置き換えて表示するというものです。

   そこで筆者がある業務ソフト上での不具合の改善方法を入力してみました。マニュアルなどに解決方法などが記載されていないような意地悪な質問をぶつけてみました。すると数分の間にソフトの概要の説明から開始され、一般論的な内容の次に時間を置いて、次々と解決方法を提案してきました。わずか1~2分の間に5通りのアプローチを提案してきました。これには正直驚きを隠せません。

   そしてこのソフトが一番得意とするのが、世に情報が氾濫しているものを、まとめ上げるということです。家庭教師の代わりをしたり、Excelの関数を書かせたり、論文を書かせたりなどです。また会社の登記や変更といった司法書士が行う業務なども簡単に書類を作成してしまいます。

ChatGPT のアカウント登録方法は難しくありません。しかし全て英語のためちょっと難しく見えますが、簡単です。まず、ChatGPT のサイトにアクセスします。

ブラウザでhttps://chat.openai.com/ にアクセスしてください。あとは表示される指示どおりにメアドもしくはGoogle や Microsoft のアカウントを選択してサインアップしてください。

よくわからないことがあると、「ググってみたら?」と会話をすることがありますが、これはわからないことは「Google で検索してみれば」の意味です。いままではGoogleで検索し、その結果からネットサーフィンによって様々な単語を検索していきました。ところがこれからは「Chat GPT」がそうしたネットの文章をうまく、ひとつにまとめ上げて、完璧なストーリーを構築していきます。しかし1歳にも満たない生まれたてのソフトですが、その成長度は驚異的なもので、Google社がいま一番脅威と感じているソフトです。

  少し前まではWikipediaを使って論文などを作成すると、すぐにわかってしまいましたが、このソフトを使うと、あたかも人間が書いたかのような文章となり、真贋を見極めることが困難となりました。既に世界各国の有名大学では学生にこのソフトの使用を禁止している学校も増えています。またこのAI技術にプラグインソフトを組み合わせることにより、好きなイラストを生成するというソフトまで登場しています。たとえば、「かわいい・茶色・トイプードル・目が大きい」などと、より多くのキーワードを与えると、様々なイラストを生成してくれます。しかしそれは人間の想像力や原稿を書くという能力を退化させてしまう結果となります。そしていま社会問題化しそうなのが、ホワイトカラーの職が奪われるという懸念です。議事録や行政の書類など、定型化しているものであればあるほど、得意とする分野であるため、職業の聖域が崩れていくことが、早くも懸念されています。そしてそのことによってホワイトカラーの職がAI に取って替わられてしまい、人間はAIの指示で動くブルーカラーの職種だけになるとの予測もあります。

  いま企業への問い合わせ業務から電話応対というのが、消えつつあります。その最先端がIT系の会社です。しかしその中にはインフラである電話会社も含まれています。そして約款とかガイドラインというものがしっかりとしている業種であればあるほど、例外がなくなります。たとえば行政の仕事です。行政はしっかりとした決め事の上に成り立っています。ですから曖昧なことや、例外を排除しています。こうしたきっちりとしたことに、もっとも最適なのがAIです。行政への問い合わせがもし、チャットオンリーもしくは、電話応対は限られた時間と限られた人数に制限されたらどうなるでしょうか?

 また最近は人間かロボットかを判別するために、クイズや計算式、または複数の写真から共通項のみをセレクトしないと、スタートできないというサイトが増えてきました。

Microsoftでは動物のイラストを矢印の方向と同じ向きに揃えるチェックを何度も行わないと、次のステップへ進めない仕組みを採用しています。こうしたことに、いまのうちから慣れておかないと、あっという間にロボット社会になってしまいます。いくら我々が感情的に訴えても、泣いてもわめいたとしても相手はAIです。感情など一切なく適切なプロセスを踏めない人はいつまでたっても取り残されてしまいます。そしてこのSFのような出来事が、もしかすると来月からやってくるという日が来るかもしれません。(広報委員会)