デジタルの疑問難問解決隊 第24回(最終回)

2年にわたり連載してまいりましたこのコラムも、今回でひとまず最終回となります。

次回からデジタルからは離れ、身近な生活の中で潜む危険な食品や、生活に役立つ情報を発信していきたいと思います。さて最終回はパソコンの疑問総特集をお届けします。

 よく昔から映像音楽業界はMac、事務系はWindowsと呼ばれていました。ある意味本当である意味妄想です。印刷業界では写研、モリサワ、リョービが20世紀までは王者として君臨していました。しかし21世紀に入ると「QuarkXPress」というソフトが、あっという間に席巻し、業界地図を塗り替えました。そして映像では「Media100」「Avid Media Composer」音楽では「Pro Tools」というソフトがMacをプラットホームとして動作し、正にMacの独壇場でした。しかし前出のQuarkもMedia100もAdobe社より発売されたソフト群によって、Windows版も出現して、その神話は崩れました。しかしいまだにその神話を信じている人がいることは確かです。一部の学校ではiPadを全生徒に購入させ、音楽映像業界の専門学校ではいまだにMacのみで授業をしているところがかなりあります。OSの優劣はありますが、これは常に進化を遂げるものであり、ある時はどちらかが優位に立つということがあります。しかしソフトウェアの中に入ってしまえばOSはあまり関係なく、本当に大切なことはCPU、グラフィックカード、メモリー、ストレージなどのグレードが重要となり、作業効率の成果はこの点にかかっています。つまりカスタマイズを自在に変更できるWindowsの方が、遥かに優位性があるということです。

 いま前項でWindowsの方が優位性に優れているとご説明しましたが、ここ最近かなり困った問題が続出しています。とくにWindows11からは随分とおかしなことになってきました。そこで、何が昔と違うのかを検証していきたいと思います。

 現在ではMicrosoft アカウントを設定してサインインをしないとWindowsをスタートすることが出来なくなってきました。ちょっと前まではとりあえずスタートさせてくれましたが、現在はこの設定をしないと先に進めません。そしてそのアカウントが後に出てくるOfficeと大きな関わりを持ってきています。そこで、必ずMicrosoftアカウントとパスワードをしっかりと設定し、記録を残して下さい。

 これはHomeEditionにおいてローカルアカウントを作ることが出来なくなったことと関係があります。昔はアカウントを作らず、またネットにも接続しないでPCを動かす人がいました。しかし現在ではネットに接続し、常にセキュリティーを高め、不正アクセスを防ぐことが目的とされているため、アカウントとの紐付けが必須となりました。裏技でローカルアカウントを作る方法がありますが、Officeとの連携で問題が起き、使用ができなくなる恐れがありますのでお勧めはできません。

 少し前まではOfficeソフトはバンドルされているか、もしくは別売で導入をするものでした。しかしいまはアプリ一覧の中にちゃんと入っています。そこで気軽に「あるじゃないか!」と使い始めると、もうそれはサブスクのOffice365の使用に同意したこととなり、課金の対象となります。ちなみに365Personalは年払い14,900円、月払い1,490円となっています。しかしデーターベースソフトのAccessは利用できません。そしてOffice2019のメインストリームサポートが本年10月10日で終了します。そしてこの後はサポート内容が限定的となり、2025年10月頃には完全にサポートが終了してしまいます。つまりMicrosoft社は買い切り版を終売としてサブスクオンリーへと移行させるのではないかと予想されています。現在でもOffice2021の永続使用版がまだ購入可能ですのでサブスクへ完全移行まではこちらを使うということも選択肢の一つと言えます。

 基本設定が終わるとデスクトップにはゴミ箱とEdgeのアイコンしかありません。みなさまは当然のことながら、Edgeを使いプロバイダーから提供された資料を見ながら、Outlookにメールの送受信設定を行って、プロバイダー提供のメアドを使います。しかしこのパターンはあつりお勧めできません。なぜかといいますと、スマホは正に戦国時代。熾烈な価格競争の中で格安SIM会社の登場により随分と安くなりました。しかしインターネット接続はどうでしょうか? 中でも戸建てタイプは高額です。いずれ総務省もメスを入れるはずです。そして何が問題になるかといいますと、例えば安価なプロバイダーに乗り換える、もしくは高齢者となり、子供と同居する。もしくは施設に入所することとなったとします。そうした時にプロバイダーのアドレスに依存していたら大変困ります。確かにお金を払ってアドレスを引き続き利用することができますが、それはら大変無駄な費用です。そこで一番のお勧めはGメールに全てを統一する方法です。しかしここでまた妨害が起きます。Gメールを使うためにはGoogleアカウントが必要です。そのためにはまず、Google Chromを入れなくてはなりません。しかし、EdgeでGoogle Chromと検索するだけど驚くような妨害がスタートします。

 そしてその妨害を必死に乗り越えても、デフォルトの設定には次なる難関があります。アプリ一覧から各設定変更をするのですが、少し前は全てを一括変更が可能でしたが、現在では個別に変更をしなくてはなりません。しかもそこには「強制的に変更する」と大仰な文字が出現します。この言葉もある意味の脅しのように捉えてしまいますが、躊躇せずに変更をします。これはアメリカでも独占禁止法に抵触するのではないかと裁判にもなっています。

 この表題を見るとあたかもここに書かれていることを行わないと、セットアップが完了しないという勘違いを誘発する書き方になっています。「続行」と「3日後に通知する」しか表示されません。つまりしないというボタンがありません。この場合は「3日後に通知する」を選んで、退避するしか方法がありません。このやり方はMicrosoftによる、いわゆる囲い込みとなります。かつてWindowsフォンの失敗へのリベンジと言えるでしょう。

 全世界の人々のイライラを頂点に達したOneDrive。これをウイルスと呼ぶとMicrosoftから怒られますが、初期状態でどんどん人のデータをクラウド上に人質のように保存していってしまう仕組みに、ついにかの「日経PC21」(本年8月号)が大特集まで組むというありまさまです。しかしこれには賛否が分かれます。「素晴らしい仕組みじゃないか!」 という方もいらっしゃいます。そこで改めてこの「OneDrive」とはどういったものなのかをご説明いたします。

 OneDriveは当初SkyDriveという名前で2007年6月よりスタートし、2014年より現在の名称に変更されたオンラインストレージサービスです。容量が0.5Gよりスタートし、25Gや15Gを経て現在は5Gまで無料で使えるストレージとなっています。筆者の記憶では少し前まではOSインストール時にデータの保存先として、One DriveかPC本体とセレクトできました。しかしそのスタイルは現在では消えてしまい、有無を言わさず勝手に保存していきます。そこで本来どのようなデータ保管がベストなのかをご紹介いたします。これからのお話は、そもそもノートパソコンではなかなか実現が難しいのですが、デスクトップの方やノートに外付けドライブを設置している方には安全なデータの保存方法となりますので是非実践してみて下さい。

 PCの処理能力の低下の原因の一つにCドライブになんでもかんでも置いてしまうことです。

そこで昔は1つのドライブをパテーションで仕切って、CとDドライブとしました。しかし高価なSSDになってからはこの方法は取られなくなりました。また本来パテーションで仕切ったとはいえ、クラッシュした時はどうにもなりませんから、そこで別のドライブを装備します。CドライブはできるだけOSのみ、そして500G位のドライブを用意し、テンポラリードライブ(D)とします。そしてそのドライブに各種ソフトやデスクトップ、ドキュメント、フォト、ダウンロードといったフォルダを作成し、プロパティから場所を選んで(C)から(D)へと変更します。そしてさらに用心深くする方法としては1TBぐらいのディスクを(E)として、こちらをデータディスクとして作成したデータを格納します。さらにバックアップディスクとして(G)ドライブを作り、(E)ドライブを丸ごとコピーしておけば完全です。またtempフォルダもCドライブ以外に移動させてシステムを安定化する方法があります。しかしいままで行ってきた全ての安定化作戦に割って入るのがOne Driveなのです。そこで、知らないうちに保存先がOne Driveとなってしまった場合は、道は2つです。ひとつはそのまま使い続けることです。しかしそれにはアカウントIDとパスワードを絶対に忘れないということが条件です。もしハードが壊れて全てを救出できなくなってしまった場合、アカウントIDとパスワードが判っていれば、なんの問題もありません。しかしアカウントは判るがパスワードがわからない。その場合、「パスワードを忘れた」を選択するのですが、連絡用のメールアドレスが昔使っていたプロバイダーで、なお解約をしていていたとか、そもそもアドレス自体が登録をしていないという場合は、最悪データを失うことになります。そこでしっかりとしたバックアップ体制が取れるのであれば、One Driveをアンインストールすることです。

 パソコンもスマホも突然おかしくなり、突然死します。その時大切なことは各種のアカウントIDとパスワードです。またプロバイダー提供のメーラーをお使いの方は、会社から契約時に送られてきた会員証、もしくは設定書を直ぐに取り出せるようにしているということです。ほとんどの方か最初に設定し、簡単にスタートしてしまうと、その時は問題なく動きましたので、アカウントIDとパスワードを書き留めることを忘れてしまいます。しかし何年かたって突然トラブルに見舞われた時に、さっとこの二つが出てくる方は本当にわずかです。この2つが揃っていれば何も恐れることなく、今までの環境を簡単に再構築することが可能です。いまからでも遅くありませんので、調べて確認することを強くお勧めいたします。(広報委員会)

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