デジタルの疑問難問解決隊 第14回
デジタルの生前整理と管理していますか?

人間誰しも必ず訪れる人生の終焉。しかしその前にデジタル関連の管理と整理、ちゃんとしていますか? 今回は今日から始めたいデジタルの整理術を解説いたします。

ご遺族がまず最初になさることは金融機関、クレジットカード会社、証券会社へ連絡をします。ところが、PCソフト、衛星放送、動画や音楽のサブスク、中には外国経由によるアダルトサイトとの契約と、亡くなられた方がどんな契約をしていたかを遺族が把握することは到底できません。

 ではそれを放置しておくと、どうなのでしょうか?当然こうしたサイトの契約はクレジットが主流です。だったらクレジットを止めているから安心と思いがちですが、実際は個々の契約を解約しなくてはなりません。

 中でも注意が必要なのは自動更新契約です。その場合半年後、一年後に決裁不能のメールが届きます。しかしその時にメールも開くことができなければ、最悪の場合は少額訴訟を起こされてしまい、いきなり結審してしまいます。相続とはマイナスの遺産を引き継ぐことも意味していますから、相続人が支払う義務が生じてしまいます。サプリメントのような通販の定期購入であれば、現物がありますから気が付きますが、デジタルは形がありませんので、知ることができません。

以前はパスワードといえば、銀行キャッシュカードの4桁の暗証番号ぐらいでした。ところが気がつけば、ID、アカウント、パスワード、生体認証、2段階認証、Face ID、トークン、ワンタイムパスワードと訳のわからない言葉ばかり。

 みなさんの中で上記の言葉をちゃんと理解し、説明できる方がどのくらいいらっしゃるでしょうか?

 「う~ん」と考え込んでしまった方、すでにあなたの回りにはこの言葉だらけとなっています。

そこでまずは手始めにご自身の携帯やスマホで重要なことを確認してみて下さい。

大手キャリアと契約されている方で重要なのは契約の時に決めたネットワーク暗証番号です。これは4桁の数字のみで構成されています。本人確認や契約内容の変更などに必要な暗証番号です。これを忘れてしまうと、ショップに問い合わせても教えてもらうことができません。後日郵送による書面開示となってしまい大変面倒です。

 次ぎにiPhoneの方で重要なのがApple IDです。アプリのダウンロードやログイン時に必要です。普段生体認証を使っている方には関係ありませんが、通信会社や機種を変更する時には必要となります。

  Androidの方はGoogle IDです。Androidではアプリのダウンロート時に必要としませんが、機種変更などの際には必要となりますので必ず確認しておきましょう。

ここ数年でMicrosoftの囲い込みがエスカレートしています。昔は自由に使えていたOfficeソフトもサブスクが主流となったいま、このアカウントが重要な鍵となっています。

  Windows11ではMicrosoftアカウントと紐付けを行わないとローカルアカウントが作れないように仕様が変更されました。

  つまり、今後はWindowsをスタートさせるためにはアカウント登録をしないと始めることができなくなりました。

  ここで注意が必要です。MicrosoftアカウントをスタートさせるとOne Driveとういクラウドサービスが利用できます。いつでも作成したデータにどこからでもアクセスできるというものですが、落とし穴があります。Office関連ソフトでみなさんが最も多く利用されるのが、WordとExcelではないでしょうか。書類を作成して名前を付けて保存します。昔ですとドキュメントに保存されましたが、今はOne Driveに保存されます。大変便利な仕組みで自動保存を選ぶと自動で保存してくれます。しかしそのデータはクラウドに保存されていてご自身のPCには存在しません。このことを殆どの方が認識されずに使用しています。 ある日突然PCが壊れたとします。そして修理不能と言われてしまい、仕方なく新品を購入しました。その時にMicrosoftアカウントをしっかりと覚えていれば、全ての書類が復活します。しかしどうしても覚えていない、書き留めたメモが見当たらないといった事態になると最悪の場合、全ての書類を諦めなくてはなりません。

デジタルとは関係ありませんか、ガスはとくに閉栓する時が大変です。

イタズラ防止のためにも、独居の方のガスを止めるのは親族でも大変です。電気やガスには供給地点番号というものがあり、検針票に記載されていますが、普段は気にも止めません。水道も同じような番号があり、NHKも同様です。こうした番号が分かると、大変スムーズに解約が進みます。

マイナンバーカードを初めて受け取る際に、暗証番号を設定しないと受け取ることのできなかったことを、みなさんは覚えていますか? 4桁の数字と英大文字+数字混在で6文字以上16文字以下というややこしい暗証番号のことです。これがわからないと、せっかく作成したカードもなんの役にも立ちません。マイナポータルにアクセスを行ったり、コンビニで各種証明書を発行する際に、この4桁の暗証番号が必要です。また電子申請(e-Tax等)やPayPayの本人確認などでは、さらに複雑な6文字以上の暗証番号が必要です。このいずれかを3回間違えると自動でロックがかかってしまい、解除のために市役所に出向かなくてはなりません。かつて国民全員に10万円を配布された際に、ロックがかかってしまった市民が殺到し、全国の自治体の窓口がパンクしたのをご記憶かと思います。全てこれ本人の責任です。

簡単な方法としては専用のノートを作って、しっかりと書き留めることです。しかしそれでは紛失してしまった時に困ります。そこでExcelで表を作り管理します。それを自分のアドレス宛に添付して送ります。それをGメールなどにある左欄のカテゴリーに重要というフォルダーを作成してその中に保管します。新たなものが増えたらまた更新します。そしてできればその存在をご家族に知らせて、なおコピーを渡しておけば完璧です。

デジタルは難しい、わからないと逃げずにトライをすれば、こんなに便利で簡単なものはありません。みなさまもご家族を困らせないためにも、今日から一つずつ確認してゆけば、楽しいシニアライフをきっと過ごすことができます。       (広報委員会)