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第2回 「磁気切符からQRコード切符へ~変わる自動改札機の仕組み」
5月29日、首都圏の鉄道8社(JR東日本、京成電鉄、京急電鉄、新京成電鉄、西武鉄道、東京モノレール、東武鉄道、北総鉄道)は2026年度末(2027年3月)以降に現行切符からQRコードが印字された切符への置き換えを順次進めていくことを発表しました。我々日野地域でも中央線沿線の方々には大いに関係があるニュースです。京王電鉄は発表された8社には入っておりませんので、京王沿線の方はまだ先のことと、お思いですが、もう既に京王電鉄は実証実験を開始しております。京王電鉄はその先をゆく、クレジットカードにも対応しているため、いつでもQRコード切符の発行が可能なので、この発表会に名を連ねていないのです。
京王電鉄では3月25日より下記の駅にて実証実験を実施中のため、ごっつい自動改札機を目にされた会員の方もいらっしゃると思います。
では今後のロードマップですが、京王電鉄の他に東急電鉄(田園都市線)も既に同じシステムを導入しています。京王電鉄では前出の実験駅を拡大し、24年度中には全駅設置を目指しています。とりあえず、カードによるタッチ決済は間違いなく年度内に完了します。そして実証実験を経て2027年4月(予定)からは磁気切符は廃止となります。
しかし上記の写真を見ればおわかりのとおり、いったい「どこにどうすればいいの?」と高齢者や子供たちが戸惑う利用者が続出するのではないでしょうか? とは言え、「俺は現金主義だから!」と交通系ICカードやクレジットカード、スマホも全て拒否していると完全に孤立してしまいます。世界では驚くことに各国で偽札がかなり横行しています。とくに中国では買い物をすると、まず店員さんはお札を何度も点検します。そして識別機に通します。そこで10年ぐらい前からスマホによる決済WeChatPay(微信支付)が発達し、屋台でも使えるようになっています。中国ではスマホ決済ができないと何も購入できない状態です。しかし日本は偽造紙幣がほとんど流通していないため、逆にこうしたデジタル決済の対応が、世界からかなり遅れをとってしまった要因でもあります。
■メリットとデメリットは?
利用者の観点からは言うと、まったくメリットはありません。しかし会社側からすれば、メンテナンスのコストが大幅に軽減されます。また今までの切符は裏面に磁気が塗布されているため、再利用には磁性体を剥離しなければ、全てゴミとなってしまいます。しかしQRコードにより印刷のみで完結するため、古紙として再利用が可能です。
ではデメリットはなんでしょうか? それは利用者側での読み取りリーダーへの、正しい提示の徹底がなされるかが、最大の懸念材料です。もし違う箇所にタッチすれば、当然ゲートは開きません。また後ろの乗客の迷惑にもなります。そして最大の不安材料はシステム障害による読み取り不能です。これはなにもQRコード切符だけではなく、すべてデバイスに関係してきますので、全乗客が入出場ができなくなります。しかし従来の区間駅名が印字された切符なら、有人改札で簡単に通ることができます。しかしQRコードの切符ではどの駅から乗った切符なのかを判別するには、やはりシステムが稼働していないと読み取ることは不可能です。
何十年後は硬貨がなくなり、そしていずれは紙幣もなくなり、すべてデジタル通貨に置き換わってしまう世界がやってくるのかもしれません。それは平時の場合は大変便利で良い仕組みなのかもしれません。しかしひとたび有事となり、例えはシステムセンターのサーバーが攻撃や破壊されたり、また発電所で大きな事故が発生した場合には、デジタル社会はあっという間に原始時代へと戻ってしまいます。どこかにアナログを残しておくというのも必要なのではないでしょうか?
(広報委員会)