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第9回「マイナンバーカードの2025年問題ってなぁに?」

 2016年1月から交付が開始されたマイナンバーカードも、早いもので、今年で10年目を迎えました。筆者もカードの更新を迎えるのですが、会員のみなさまの中でもカードの更新や、暗証番号の更新を迎える方がたくさんいらっしゃると思います。今回は制度開始以来、初のカード更新と2回目となる暗証番号の更新について解説いたします。

 マイナンバーカードには、物理的、電子的な有効期限が2つあります。18歳以上の人は発行の日から10回目の誕生日でカード本体の有効期限を迎えます。またカードに格納されている各種電子証明書の暗証番号が、発行の日から5回目の誕生日で有効期限を迎えます。筆者のようにカードを作成してから10年目を迎える方には、期限の3ヵ月前に、郵送にて期限到来のお知らせが届きます。その場合、初めてカードを作成した時と同じように顔写真を撮影し、データもしくは印画紙に出力された写真を用意しておく必要があります。また同時に4種類の暗証番号も、併せて更新しなくてはなりません。そして面倒なのは、受け取るためには必ず市役所に足を運ぶ必要があります。10年も経過すると顔も少しずつではありますが変化が生じてしまいます。目視による顔認証が必要となった場合、古い写真と現在の顔に差異が生じた場合、本人確認が出来なくなっては困るという観点から、カード自体を作り直す必要があります。また同時に暗証番号も更新する必要があります。5年目の方はこの番号の更新だけで完了となりますが、やはり市役所に本人が原則として出向かなくてはなりません。今年は行政機関としても初のカード本体の更新ということもあり、混乱があるかもしれません。またシステム障害も発生することも予想されます。発行する側も受け取る側も、双方が初めてというのは大変不安です。

マイナンバーカードのICチップ内には、次の情報が記録されています。

  • 「マイナンバー」(数字12桁)
  • 「基本4情報」:「氏名」「性別」「生年月日」「住所」
  • 「顔写真」の画像情報
  • 「利用者証明用電子証明書」
  • 「署名用電子証明書」
  • 「住民票コード」
  • 「署名用電子証明書用暗証番号」(英数字6 – 16桁)
  • 「住民基本台帳用暗証番号」(数字4桁)
  • 「利用者証明用電子証明書用暗証番号」(数字4桁)
  • 「券面事項入力補助用暗証番号」(数字4桁)

 医療、年金、口座紐付けなどのプライバシー性の高い情報は、役所等各機関のデータサーバー側にあり、ICチップ内には保持されていないので、紛失や盗難にあったとしても、直ぐに問題が起こるわけではありません。しかしカードと一緒に暗証番号を記載したメモ用紙を入れている場合は、大変危険ですので別の場所に保管するように必ず変更してください。

 みなさんのお手許に、「資格情報のお知らせ」という用紙が届いていらっしゃる方もおられると思います。これはなんらかのトラブルによって、マイナンバーカードの情報を読み取ることが出来なかった場合のみに使用する、仮の保険証のようなものとお考えください。マイナンバーカードには表裏共に、保険情報の記載は一切ありません。もしクリニックの機械が故障、もしくはデータセンターのサーバーがダウンしたなどの場合、医療機関では保険情報を読み出すことが出来ず、医療費は10割を請求されてしまいます。そのような緊急時用に考えられた仕組みですが、各自治体や保険組合によって発送のタイミングに大きなズレが生じているのが現状です。そのような場合を考えて、通常の保険証は携帯しておくことをお勧めします。ちなみにこの用紙はマイナンバーカードをまだ申請していない方や、カードと保険証の連携を行っていな方には発行されていないようです。

 いつまでも元気で頭もハッキリとしているにこしたことはありません。しかし人間、いつ認知症や施設に入所するかもしれません。介護施設ではマイナンバーカードを預かることを拒否している所が多数見受けられます。その場合、家族が必要な度にカードを持参しなくてはなりません。そこで、暗証番号の設定を不要とし、本人確認方法を機械により顔認証、または目視確認に限定したカードがあります。主に健康保険証としての利用が想定されています。顔認証または目視確認により確実な本人確認を行ったうえで、オンライン資格確認のほか、本人の同意により特定健診等の情報や診療、薬剤情報の閲覧が可能となります。つまり暗証番号を必要としないため、番号を忘れたとしても安心です。ただし、デメリットもあります。マイナポータルへのログインや、コンビニでの各種交付をはじめとする、暗証番号の入力が必要なサービスのご利用ができなくなります。そういう観点から考えると、このカードへの変更は最後の手段となりますが、こういう手段もあるということをご記憶ください。
 早生まれの方は既に通知が来ている会員の方もいらっしゃると思います。運転免許証と同じで、失効してしまうと運転ができないのと同じように、保険証としての機能を失ってしまいます。通知が到着しましたら速やかに手続きをすることをお勧めします。

(広報委員会)